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介護保険を利用しはじめるタイミングって非常に難しいですよね。

突発的な事故や病気でいきなり自宅での日常生活が困難になった場合は、やむを得ず介護保険を利用せざるを得ないタイミングだと言えるでしょう。

ただ、ご家族から見て「本人は元気そうに生活してるみたいだけど…」という時の判断が非常に難しいんですよね。

ここでは介護保険の「住宅改修」を検討するべきタイミングについて考えてみたいと思います。

要支援・要介護の度合いを知る

介護保険の認定申請を行うと、利用者さんの心身状態に応じて支援の度合いの目安になる「要介護度」が判定されます。

要支援・要介護の度合いの各区分と心身の状態は下記の通りです。

要介護度区分心身状態
自立
(非該当)
日常生活に支援や見守りの必要がない。
介護保険適用外。
要支援1基本的な日常生活は自分で行えるが、一部動作に見守りや手助けが必要。
要支援2歩行・立ち上がりが不安定で、要支援1より支援や一部介護が必要。
要介護1歩行や立ち上がりが不安定で日常生活において部分的に介護が必要。軽度の認知低下。
要介護2食事や排せつなどでも部分的な介護が必要。認知低下や問題行動がみられる。
要介護3日常生活全般に介護が必要。認知低下や問題行動がみられる。
要介護4日常生活全般に全面的な介護が必要。意思疎通がやや難しい。
要介護5寝たきりの状態で全面的な介護が必要。意思疎通が困難。

一般的な要介護度区分はこのようになっていますが、要支援要介護の違いについては下記のようになっています。

●認知症の有無
要するに認知機能の低下が疑われるか否かで要支援要介護の度合いが分かれます。

●状態の安定性
心身の状態が安定的であるか否かで要支援要介護の度合いが分かれます。

諸々の総合的な判断によるところが大きいとは思いますが、一般的に上記2つのどちらかが当てはまる場合は要介護と認定されるラインとなります。

簡単にいうと「コミュニケーションは十分取れるがお体に多少の不調がある」という場合は要支援、「お体の調子に波があったり認知低下が見られる」という場合は要介護という大雑把な分け方になりますかね。

ちなみにそれぞれ要介護区分に違いが設けられているのは、要介護区分によって各種サービスの利用限度額が違うからです。

ただ住宅改修の支給上限額はどの区分でも一定(20万円/人)ですので、具体的なサービスの利用限度額についてのお話はここでは割愛させていただきます。

住宅改修を検討するべき要介護区分

ではいつ介護保険の住宅改修を実施するべきでしょうか?

介護保険の住宅改修は「少しの手助けで自宅での日常生活が行える」ことが目的ですので、そこから考えると「要介護5」などの段階になると「寝たきりの方が手すりを使うだろうか?」ということになり、住宅改修を実施する意味合いがかなり薄れますよね。

ですので介護保険で住宅改修を実施するタイミングとしては、できるだけ介護度が軽いうちからの実施をおすすめします。

実際に手すりの設置などを先延ばしにしてしまい自宅で転倒し、元々「要支援1」程度だった方が「要介護3」程度にまでなってしまわれた方のお話も複数聞いたことがあります。

介護保険での住宅改修は、通所・訪問・入居等の介護サービスを利用する必要がないうちに、もしくはできるだけそうならないように早めに利用することをおすすめします。

具体的には「要支援1」から住宅改修をおすすめします。

実際に住宅改修を利用される方は、要介護区分でいうと「要支援1」~「要介護2」辺りまでの方になります。

基本的に「自力で動ける方」がご利用されるケースがほとんどです。

まとめ

介護認定を受けておられる利用者さんが日常生活をするうえで「段差が上がりにくい」、「立ち座りがむつかしい」、「ふらつく時がある」、「まっすぐ歩きにくい」、こういう症状が少しでもあるようなら、介護保険の住宅改修を利用することを検討してみてください。

個人的に思うのは、介護保険で住宅改修を実施することはただ単に日常生活の手助けになるだけでなく、要介護度の進行をできるだけ引き延ばす役割を果たすのではないかと感じています。

すでに介護認定を受けておられるご両親がおられる場合などは「ケガなどしないように前もって住宅改修しておかない?」とお話してみてください。

家の中に手すりなどが付くとあからさまに「介護感」が出てしまうため、あまり望まれない方も多いかもしれません。

ただ一度住宅改修を行うと「早くしておけばよかった」とおっしゃる方がかなりおられるのも事実です。

近年のご高齢の方は、一度大ケガをすると回復が大変だということをご存じの方も多いので、無理強いはいけませんがあらゆる角度からお話をされてみてはいかがでしょうか?

住宅改修は要介護度の進行を遅らせる予防的措置

こういう認識で早めに取り組まれることをご検討ください。